2013年8月16日金曜日

「竹取の」第31夜<あとがき>

(扉絵:ららんさん)
(作曲:てけさん)

 「竹取の」最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!

 まだの方は、是非お読みいただいてから、あとがきをお読みくださいね(笑



 さて、この「竹取の」ですが、「即興小説トレーニング」というサイトで連作として書いたものを加筆訂正の上、こちらにアップしたものです。
 「即興小説トレーニング」とは、あるお題と必須項目(これは選べます)を元に制限時間(15分~4時間を選べるようになっています)内に即興小説を書き終えるという内容のサイトです。ここに投稿するようになったのは今年、2013年3月頃でした。それまでは、まともに小説なんて書いたことなく、某人狼ゲームでPR(ロールプレイ)する程度。あとは、チャットとかは好きでしたけど。人狼繋がりで、他の方がやっているのを見て、面白そうだな~程度で始めたのが、数ヶ月前です。
 そこで、何名か気に入った作者さんがいらっしゃって、その中のお一方が連作をやっているのをみて、ああ、こういう使い方もあるんだな~と、なんとなくマネしてみたのが、第一作目の作品でした。これは、追々こちらのサイトにもアップしてみようかなとは思ってますが、恋愛モノでした。二作目もなんとなく恋愛チックな、婚活ストーリーと銘打ってました。そして、三作目の連作がこの「竹取の」でした。実は、この作品、全くのノープランから始めて(前作2作もそうでしたけどw)、ここまできちゃいました。最初のお題が「死にかけの月」というものでした。さらに必須要素が「英検」なので、最初のシーンは英検前夜だったのです。さらに、月→かぐや姫→ファンタジー書きたい→月面人が現れる、みたいな感じで至ってシンプルに、「竹取の」と題して、第一話を書き下ろしました。
 ところが、です。改めて「竹取物語」を調べてみると、これが実に奥深い、かつ神秘的で謎の多い物語だということが分かったのです。ただのお伽噺だと思っていたのが、実は全くそんなことはなく、日本最古のSF小説であり、未だに沢山の謎に包まれた作品だったのです。さて、こんな大変なモチーフにしてしまっていいのだろうかと考え直してもみましたが、逆にネタとしておもしろいなと思いつつ、続けて話を展開していくことにしました。特に、小説内でもありますが、「竹取物語」の終盤には、帝が不死の薬を富士山に投げ入れるように指示したため、「不死の山」=「富士山」となったという伝説があります。あたしは今回この作品を書くにあたって、調べている内に初めて知った部分でした。意外に知られていないのではないかと思い、この部分をうまく使いたいという方針で序盤は進めました。
 また、太古の謎を調べていくうちに、古事記や日本書紀にもあたり、これは日本神話も混ぜていくと面白そうだなと。特に「竹取物語」に出てくる月の使者の属するお月様を司る神様「ツクヨミ」については、あまり記述がないようなので、この辺を膨らませてみることにしました。また、富士山の伝説繋がりで、「コノハナサクヤヒメ」を主軸にもっていくことに。実は、富士山伝説では、コノハナサクヤヒメ=かぐや姫は定説らしいのですね。
 しかしながら、この設定を後悔し始めたのは10話前後あたりからでしょうか。調べれば調べる程、日本神話体系や竹取物語の奥深さに打ちのめされました。こんな単純な発想でやってていいの?とか考え始めました。この辺で、一度挫折しかけまして、途中で打ち切ろうと思ったこともありました。けれど、毎回読んで感想を述べていただける方が数名いらっしゃいまして、なんとか挫折せずに済みました。本当にありがたいことです。おかげで、何とか無理やりにでもこじつけて話を進めることができました。最終的にはそれほど矛盾がでないようにはできたと思ってます。ただ、神話研究とかされている方からすると、突っ込みどころは満載だと思いますけど。まあ、そこは、ファンタジーなので、ご勘弁を。
 終盤にかけて、読んでくれている方から、「もふさん、なんか降りてない?」と言われるほどのめり込んでいた部分があったようです。特にサクヤ姫やイワナガ姫が頻繁に出てくるあたりだったかと思います。
 話の中にも出てきますが、イワナガ姫はサクヤ姫と姉妹なのですが、醜いという理由でニニギノミコトから拒否されるのです。これは、天皇の末裔が神の血族なのに、なぜ寿命をもっているのかという理由づけではあるのですが、それにしても、酷い逸話ですよね。しかも、イワナガ姫のその後については、古事記にも記述がないようなのです。そこで、このお姫様にもスポットを当てたいなと思って、こういう流れになったのです。もしかしたら、イワナガ姫がちょこっとばかし、あたしに降りたのかも知れませんね。イワナガ姫がその名の通り、「岩」を司る神様のようなので、そっくりそのまま富士山にもってきて、実は富士山はサクヤ姫ではなく、イワナガ姫そのものだったという結末に、この小説では収めてます。実際、サクヤ姫は水の神様なのに、何故か富士山信仰では火の神様になっているのです。
 今年、富士山は世界遺産に認定されましたね。世界に誇る美しい山が、実は大昔醜いと言われて突き返された神様だったという結末で、ハッピーエンドになればいいなとの思いも込めて。

 話は変わりますが、この物語のもう一方の主軸は、主人公の瑠璃ちゃん、ちいちゃんと亮くんの三角関係です。ちいちゃんと亮くんは従兄妹で幼馴染み。瑠璃ちゃんとちいちゃんは大の親友という関係。オーソドックスな恋物語の予定でしたけど、ちいちゃんの存在が意外に大きく、思ったよりは色々紆余曲折がありました。ただ、即興小説サイトで公開した時には、特にちいちゃんと瑠璃ちゃんの思いとか関係とかがあまり深く描けなかったため、ラストシーンが若干唐突な感じになってしまったのではないかという指摘もいただき、確かに自分で読み返してもそう思ったので、この辺はかなり加筆しました。特に別荘での夜にちいちゃんと瑠璃ちゃんの会話をさらりと流していた部分をかなり深く描写するようにしました。これで二人の思いが読者の方々にも分かるようになったのではないかと思います。
 あと、心残りがあるとすれば、亮ちゃんの心理描写がもう少しできたらなとは思いましたが、一人称で始めてしまったために、どうしてもここは描くのが難しかったですね。余裕があれば、短編で亮くん視点のサイドストーリーみたいなものを書ければいいなぁ~とは思ってますが。いつのことになるやら…(笑
 扉絵を描いていただきました、ららんさんと、OPED曲を作曲していただいた、てけさんには、感謝です!

 次回作は、今、即興で短編でいくつか書き始めてますが、中学生を主人公にしようと考えてます。今まではできるだけ登場人物を少なくして、キャラを分かりやすくすることに専念してきたのですが、今度は少しキャラを増やして、群像劇っぽくしたものに挑戦してみたいなと考えてます。ですので、三人称でチャレンジです。今回はプロットもそこそこきちんとして書くつもりなので、ここと、あと別サイトでの公開になるかも知れません。即興の方は、キャラ設定とか、サイドストーリーを束ねる役目にしようかと思ってます。題名だけはすでに決まってまして、「Ncon!」の予定です。えぬこん!と読みます。どんなストーリーになるかはお楽しみ。
 では、長々とありがとうございます。「竹取の」の感想など、本当に簡単なもの、一言でも結構ですが、残していっていただけると嬉しいなと思います。では、皆様にもコノハナサクヤヒメのご加護がありますように!

2013.8.16
もふもふ

(作曲:てけさん)

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